2024年オフはソトとメッツの史上最高額の契約など大きなムーブがすでにあり、今後は佐々木朗希の移籍先が注目されています。今回は今オフにあった大きなトピックをまとめました。
フアン・ソト外野手 メッツと契約
大谷翔平の記録を塗り替える契約
今オフのFA市場で最大の注目はヤンキースからFAになったフアン・ソト外野手(26)の去就でした。ヤンキース、レッドソックス、ドジャースを含む6球団が争奪戦を繰り広げているとされていましたが、最終的にメッツと契約。最終的に15年7億6500万ドルと、大谷翔平選手の7億ドルを超す総額となり、スポーツ選手史上最高額の契約となりました。
ソトはナショナルズで19歳でデビューし、2019年のワールドシリーズ制覇に貢献しました。その後パドレス・ヤンキースと渡り、2024年シーズンはジャッジとともにヤンキースをリーグ優勝に導きました。今季自己最多の41本塁打をマークした長打力はもちろん、通算の出塁率が.421という選球眼、そして出塁率が4割以下で終えたシーズンはないといった安定感が大きな魅力です。
今回ソトが史上最大規模の契約を得たのは、FAとなった年齢が26歳であったことが一つの要因でしょう。一般的に全盛期は30歳前後だといわれるため、今後5年以上全盛期が続くと思われるソトは市場価値が高くなったと言えます。近年でいえば、大谷が29歳、ジャッジが30歳でFAとなっているので、球界屈指の好打者が20歳代中盤でFAとなったことが珍しく、貴重なことでした。
また、昨年の大谷の7億ドルの契約も影響しているでしょう。大谷の契約は投打の二刀流であること、後払いが含まれることが7億ドルの契約を可能としました。今回のソトと代理人のボラスは史上最大の契約を得ることが目標であったと言われているため、7億ドル以上が目安となったのでしょう。憶測ですが、仮にソトが大谷より前にFAになったとしたら7億6500万ドルの契約はなかったかもしれません。
メッツの先発投手
ソトを補強したメッツですが、2024年の先発投手よりルイス・セベリーノ、ホセ・キンタナ、ショーン・マナエアの3人がFAとなり、補強が必須になっていました。結果的にフランキー・モンタス(前MIL)、クレイ・ホームズ(前NYY)、グリフィン・キャニング(前LAA)と契約し、マナエアとも再契約しました。先発投手は千賀を含め、枠は埋まりましたが、ソトのように派手な補強はありませんでした。さらに、メッツよりFAとなっているピートアロンソの再契約があるかどうかも注目です。
ヤンキース 大型補強
ワールドシリーズで敗退し、ソトの流出を許してしまったヤンキース。ワールドチャンピオンを奪還すべく、大型補強をおこなっています。特に野手は1Bリゾ、2Bトーレス、LFバドゥーゴ、RFソトが退団となり、大幅な刷新となりました。
マックス・フリード(30) 先発投手 ATL→NYY 8年2億1800万ドル
C・バーンズ(BAL→AZ)、B・スネル(SF→LAD)と並び、FA市場に出ていた先発投手のビッグネーム、フリードを左腕投手史上最高金額で獲得しました。これで、エースのG・コールを中心に、C・ロドン、L・ヒル、C・シュミット、M・ストローマンと並ぶ強力な先発投手陣となりました。2年3700万ドルで獲得しながらも、昨シーズン安定感を欠いたストローマンは放出を検討しているといった報道もあります。
デビン・ウィリアムズ(30) 救援投手 MIL→NYY 2025年オフFA
今季セットアッパーを務めたC・ホームズが退団しましたが、トレードでブルワーズのクローザーであるウィリアムズを獲得しました。今季は途中離脱があり22試合の登板にとどまりましたが、2020・2023年に最優秀救援投手賞にあたる、トレバー・ホフマン賞を獲得している絶対的な存在です。
2024年シーズン途中からクローザーを務めたL・ウィーバーをセットアッパーとして、試合終盤を支配する存在になりそうです。
ポール・ゴールドシュミット(37) 一塁手 STL→NYY 1年1250万ドル
2024年シーズンまではリゾが一塁手を務めていましたが、92試合で打率.228、ホームラン8本と苦戦し、2025年のチームオプションが破棄されて退団となりました。今回獲得したゴールドシュミットは2022年にNLのMVPを獲得しましたが、その後2年間は右肩下がりの成績で、昨年は154試合で打率.245、ホームラン22本としています。
コディ・ベリンジャー(29) 一塁手/外野手 CHC→NYY 3年8000万ドル2年目(3年目オプションあり)
2017年新人王、2019年MVPとスター街道を進んでいましたが、右肩の怪我もあり成績を落としています。2023年はカブスに移籍、OPS.881と復活しカムバック賞を獲得していますが、昨シーズンはOPS.751となっています。カブスはアストロズからカイル・タッカーを獲得し、外野手が余剰になっていた状況でベリンジャーをトレードで放出しました。ヤンキースでは打力の復活に加え、センターも守れることから、昨シーズン主にセンターを守ったジャッジの負担を軽減する役割も期待されているでしょう。
MVP受賞経験者を2人加え、ジャッジ、スタントンと合わせMVPが4人並ぶ豪華なラインナップとなりました。ただし、ジャッジ以外はピークを過ぎた印象もあり、ソトの穴を埋めるには不十分でしょう。ジーターの後継者といわれるA・ボルピー、超有望株のJ・ドミンゲス、強打の捕手A・ウェルズら若手野手陣が台頭し、戦力の底上げが待たれます。
一塁手 大シャッフル
今オフは一塁手の移籍が目まぐるしく起こりました。
ポール・ゴールドシュミット(37) STL→NYY(FA) 1年1250万ドル
クリスチャン・ウォーカー(33) AZ→HOU(FA) 3年6000万ドル
ジョシュ・ネイラー(27) CLE→AZ(トレード) 2025年オフFA
カルロス・サンタナ(38) MIN→CLE(FA) 1年1200万ドル
ナサニエル・ロウ(29) TEX→WSH(トレード) 2026年オフFA
ジョシュ・ベル(32) AZ→WSH(FA) 1年600万ドル
単年契約やトレードが目立ちますが、ウォーカーは3年連続で.800を超え、安定した成績を残し、アストロズと3年契約を結びました。アストロズはFAで獲得したホセ・アブレイユが大不振になるなど、一塁手が明確な弱点でしたが、ウォーカー獲得により克服されるでしょうか。
市場に残る大物一塁手はメッツからFAとなっているピート・アロンソ(30)です。各チームの一塁手が埋まってきている中、メッツやエンゼルスが獲得候補だと報道があります。本人が希望する大型契約が得られるのか注目です。